
はじめに
Audibleで聴きました。
『嫌われる勇気』で知られる岸見一郎氏が、本書『つながらない覚悟』で取り上げるテーマは、
現代社会における「つながり」の正体と、それに対する違和感や抵抗感です。
特にSNS時代に生きる私たちにとって、「誰とどうつながるべきか」という問いは、
避けては通れないものとなっています。
私は他者とつながりたい感覚が全く無いわけではありませんが、だいぶ希薄なので、
つながらない傾向を肯定して頂けるような期待を込めて聞き始めました。
「つながり」への違和感を言語化する
著者は冒頭、新幹線で出会った一人の青年とのエピソードを語ります。
うつ病を患い、「社会適応は死を意味する」と語るその青年の言葉は、
本書全体の問題意識を端的に表しています。
「みんなと同じように生きる」ことが当然とされる社会において、
自分らしさを守ることがいかに難しいか。
その結果として、「本当の自分」が押し殺され、苦しむ人が多いという現実。
著者はそのような強制的な「つながり」が、かえって孤独や生きづらさを生んでいると説きます。
現代社会において「人とつながること」は絶対的な善として扱われています。
しかし、実際のところYouTubeやインスタなどで多数のフォロワーを抱える人であっても、
リアルに「仲間」と呼べる人の数がそれに比例しているわけではないと思います。
偽りのつながりから、真のつながりへ
本書の最大のポイントは、「つながらない覚悟」とは、孤立する覚悟ではなく、
「つながるべきでない関係を断ち切る覚悟」であるということ。そして、その勇気を持つこと。
表面的な安心感や依存、支配、同調圧力によって成り立つ関係性を「偽りのつながり」と名指しし、
それに巻き込まれない態度の重要性を語ります。
私がFIREする前に、会社で働いていた時に感じていた違和感もそれです。
表面上の会社員ごっこ、同僚ごっことも揶揄できるつながりの中で働くことが、
本当に苦痛でたまりませんでした。
その一方で、アドラー心理学をベースに「真のつながり」、
すなわち、お互いを尊重し、自立した関係の中で支え合うつながりへの道も示しています。
社会に適応できない人が「おかしい」のか?
著者は、社会に適応できない人の方が「異常」なのではなく、
むしろ適応を無批判に受け入れることこそが病的ではないかと問題提起します。
これは、読者の価値観に根本的な揺さぶりをかける問いかけです。
誰もが「いい人」でいようとし、波風を立てないように振る舞う今の時代において、
「自分でいること」を貫くことの難しさと、その価値が本書全体を貫いています。
カウンセラーとしての視点
著者はカウンセラーとしての経験から、「理解する」ということの本質について考察しています。
「他者は理解できない」という前提から出発し、
それでも相手を理解しようと努力すること自体が愛であるという指摘は、深く考えさせられます。
アドラー心理学の影響
本書にはアルフレッド・アドラーの「共同体感覚」の考え方が根底にあります。
人と人は本来つながっているという前提に立ち、
真の「共同体感覚」を引き出すことの重要性が語られています。
こんな人におすすめ
- SNS疲れを感じている人
- 人間関係に悩んでいる人
- 「みんなと同じ」がしんどいと感じている人
- 自立したつながりを築きたいと願う人
現代社会において「つながり」は善とされがちですが、本書はその前提を疑い、
読者に「本当に大切なつながりとは何か?」を深く問いかけてきます。
つながらない事を全肯定するような内容ではありませんでしたが、
誰かとの関係に悩んでいるとき、この一冊は確かな道しるべを与えてくれるはずです。
- 人間関係の悩みを解決するヒントがある
- SNS時代の孤独や違和感に共感できる
- 依存的な関係に安心を感じる人には違和感がある
- 抽象的な内容に終始していて論点がぼやけている
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