
はじめに
Audibleで聴きました。
物理学の中でも特に難解とされる量子力学。この不思議な世界を「宇宙一わかりやすく」解説し、
さらに日常生活や自己啓発に応用する方法を提案する本「宇宙一わかりやすい「量子力学」大全」をご紹介します。
著者の田畑誠(まこちん)さんは、プロのレーシングドライバーを目指していた経歴を持ち、
その後、医療機器関連の販売会社を経営した後、量子論の研究に没頭。
現在は「意識を変えることで現実を変える方法」を発信されています。
独学で量子力学について学んだとあるので、大学などの専門機関で実験したり、
論文など書かれたわけではなさそうです。
実際、著者の最終学歴は北九州市立大学外国語学部卒業(偏差値50)でした。
本書の特徴
この本の最大の特徴は「宇宙一わかりやすい」というタイトル通り、
非常に分かりやすい説明にあります。
量子力学の基本概念から、それを生活に活かす方法まで、ステップバイステップで丁寧に解説しています。
専門的な物理学の知識がなくても読み進められる構成となっており、
読者が自分の無意識な願望から意識している強い願いまで、最短ルートで叶える方法を解説しています。
ただ、分かりやすさを優先した結果、細かい専門的な説明を端折ったのなら良いのですが、
どうも著者自身もよく分かっていないのでは?と思わされる下りも散見されます。
入門書としては、あまり難しくなっても困るのですが、タイトルに「大全」を謳うのであれば、
もう少し踏み込んだ説明が欲しいと思いました。
おそらく端折ったのではなく、著者自身も理解出来ていない可能性が高いのですが。
量子力学の基本概念
本書では、量子力学の基本的な考え方が非常に分かりやすく解説されています:
- アインシュタインの相対性理論:
「この世にあるものはほぼ全て相対的」で、見る人や関わる人によって姿も意味も変わること、
全ての物体はエネルギーが変形したものであり、宇宙に存在するパワーの中で最強なのは「愛」であること。 - 粒子と波の二重性:
素粒子が粒子でもあり波でもあるという二重性を持つこと。
これは物質でもありエネルギーでもあるという意味で、
人間の思考も素粒子でできているという視点から解説されています。 - コペンハーゲン解釈:
量子力学の標準的な解釈で、誰も見ていない時は波であり、
人が見た途端に粒子(物質)となって姿を表すという考え方。
これは「観測」が物理的な状態を変えるという奇妙な現象を説明しています。 - 波の収縮:
素粒子が「曖昧」な状態(波・エネルギー)から「明確」な状態(粒子・物質)に変わる瞬間を
「波の収縮」と呼び、それは人が観測したときに起こるとされています。
現実応用への展開
本書の特徴は、これらの量子力学の概念を、
日常生活や自己啓発に応用する方法を提示していることです。
- 他世界解釈(パラレルワールド):
様々な可能性の世界が同時に存在するという「他世界解釈」に基づき、
理想の自分が存在する世界に「周波数を合わせる」ことで移動できるという考え方を提案しています。 - 量子もつれの活用:
素粒子同士に強い絆ができる「量子もつれ」の概念を利用し、
身の回りのモノや空間とあなたの意識が絆で結ばれているという視点から、
思いや願いをそれらに投影することで実現に向けて動いてくれるという考え方。 - 量子重ね合わせの応用:
一つの素粒子が複数の場所に同時にいられるという「量子重ね合わせ」の概念から、
人生においても様々な可能性を同時に追求することの大切さを説いています。
なんだか急に難しくなり、ファンタジーもしくはオカルト要素まで入り込んで来ましたね…。
評価と推薦する読者層
本書は量子力学という難解な概念を、非常に分かりやすく、
さらに日常生活に応用できる形で紹介している点が最大の魅力です。
特に以下のような方におすすめします。
- 量子力学に興味はあるが、専門書は難しすぎると感じている方
- 科学と精神世界の繋がりに興味がある方
- 自分の現実を変えるための新しい視点を求めている方
- 「引き寄せの法則」などのスピリチュアルな概念に科学的な裏付けを求めている方
ただし、本書は正統な物理学の教科書というよりは、
量子力学の概念を自己啓発的に解釈し応用した本であることを念頭に置いて読むとより楽しめるでしょう。
実際、量子力学どころか物理から遠ざかる下りが延々と続く箇所もあり、
文字数稼ぎを疑ってしまいました。
まとめ
「宇宙一わかりやすい「量子力学」大全」は、難解な量子力学の世界を身近に感じさせ、
さらに自分自身の人生に応用する方法を提案してくれる一冊です。
量子力学の基本からパラレルワールド、引き寄せの法則まで、幅広いトピックがカバーされており、
科学と精神世界の橋渡しをしてくれる本になるでしょう。
著者の言葉を借りれば、「あなたの世界は全てがあなたの意識でできている」という
量子力学的な視点から、自分の思い通りの人生を創造する力が誰にでもあることを教えてくれる本です。
一方で、真面目に量子力学について学びたいと思っている方には向かないと思います。
概念に触れることはできますが、結局自己啓発的な結論に帰結するので、踏み込んだ理論には届きません。
この辺りは著者のインスタグラムをご覧頂ければ、私が何を言いたいかお分かり頂けるかと思います。
また、本書出版にあたってクラウドファンディングも実施されたようです。白衣を着ている理由が謎ですが。
従って、本書から得た情報を信じるか信じないかはあなた次第、
少なくとも量子力学について学びたい方は、他の本を当たる必要があるかと思います。
「大全」の言葉に引き寄せられて読んでしまった方は、お気の毒さまでした。
- 難しい量子力学を直感的に理解できる
- 量子力学を自己啓発に応用できるようになる
- 学術的な論証が皆無
- 著者自身も理解しているか怪しい
- スピリチュアル的な内容が強いので量子力学「大全」ではない
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